馬鹿な犬ほど可愛い


18年飼っていた犬が死んで半年ほど経ちました。

何か心にぽっかり穴が開いた様な気がします。

子供の頃から犬を飼っていて、その犬で5匹目でしたが、一番手が掛かった犬でした。

とにかく咬む犬で、2~3ヶ月の子犬の頃から咬んでいました。

特に手に対して攻撃的で、数え切れないほど咬まれました。

病院のお世話になったのも1回では無く、今も左手の人差し指に縫った跡が白く残っています。

子供の時から動物好きで怖いと思った事は一度も無かったのに、その犬を飼ってからは子犬を撫でるのも怖い時がありました。

テレビで無造作に触ったり、唸っている犬に平気で近づく人を見ると今も怖くてたまりません。

散歩の時は、別の悩みがありました。

飼い主も他人も他犬も分け隔てなく噛む犬なので、散歩の時は近付けない様に気を付けていたのですが、小さな犬を飼っている人は自分の犬が大丈夫だからと言って、繋いでいなかったり平気で近付けてきます。

その度に犬を引きずって逃げていました。

家では、自分の犬なのに撫でる時は恐る恐る手を出して、横になっている時は息を止めてそっと横を通った事もあります。

もし、飼う前にこういう犬だと分かっていたら、絶対飼わないです。

その関係が少しずつ変わってきました。

あれだけ噛んでいた犬が咬まなくなったのは、8~9歳の頃だったと思います。

その頃、血が出るほど咬まれたことがありましたが、寝ぼけていただけで本気で咬むつもりはなかったと思います。

そして最後でした。

ようやく穏やかな時が巡ってきましたが、あまり長くは続きませんでした。

最初に病院のお世話になったのは、犬が12歳を過ぎた頃でした。

始めは軽い病気で薬を飲んで経過を見るという事でしたが、だんだん薬の種類が増えていきました。

でも、そのお蔭で18年も生きる事が出来ました。

恐る恐る撫でていたのが無造作に撫でてやれるようになって、平気で抱き上げられるようになって、心が通うようになったと思った頃に死が近づいていました。

あんなに怖かった犬が今は愛おしいだけです。

幽霊になって戻ってこないかと思っています。

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