酒の思い出
酒と言うと、やはり連想するのは日本酒です。
日本人は、季節の変わり目や行事ごとに、たくさんのお酒を飲んで、楽しんできました。
お正月のお屠蘇に始まり、お雛祭りに甘酒、桜が咲くと花見酒など四季の移ろいをお酒に映して、愛でてきたのです。
また慶び事にも、悲しいときにも、いつもお酒が側にいて私たちに寄り添ってくれています。
もちろん、それはたくさんお酒を飲める人の話で、最近はあまり飲まない若者も増えているようですが。
私がお酒と言って思い出すのは、「呉春」という銘柄です。
まだ若くて、会社勤めをしている時に、知り合いに連れて行ってもらったお店であり、そこに置いてあるお酒の名前でした。
日本酒などほとんど飲めない私でしたが、その店の美味しい料理と、芳醇な香りのお酒は、滅多に味わえないご馳走であること位は分かりました。
その場所は、ある高名な落語家さんが、好きでよく通っていたお店だと聞きました。
若くして亡くなったその方のことと、幻のようなあのお酒のことが、時としてふっと私の脳裏に蘇ります。
あの方も、今頃天国で、またあのお酒を飲みたがっておられるのではと、思わずにはいられないのです。
私は、今は料理に使う以外は日本酒を買って飲むことも滅多にありませんが、やはり日本に生まれて、日本酒に出会えて良かったなとしみじみ思います。
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