白いブーケ


お隣に一人暮らしの御高齢の女性が棲んでいる。

仕事を退職されてから、
この田舎に家を建てて、
晴耕雨読の生活をされて来た方だ。

数年前に腰を痛めて
以来、背骨が少し曲がってしまわれた。

雪の日の除雪をしてあげる程度の
お手伝いはするが、
それでも一人で全てをこなして頑張っている。

ある年の5月の暖かな日に、
我が家の玄関をピンポーンと鳴らして
やって来たその彼女。

ドアーを開けてみれば、
後ろ手に隠し持っていた
ブーケを私に手渡して下さり、
【今年もすずらんが沢山咲いたから】と、
ブーケは、
すずらんの愛らしい小さな白い花が一杯で
その花を取り巻く様に
緑の葉をアレンジしたものだった。

朝一番に庭に出て、
すずらんを手折ってブーケを作ったとのこと。

すずらんはこちらに越して来た頃、
山歩きを楽しんだ折に、
2株程、自宅に持ち帰り、
庭の大樹の根元に植えたものが、
増えて、今では群生してしまったそうだ。

私は、お花のプレゼントが大好きだ。

早速、食卓に飾りますとお礼を言った。

彼女は、喜んで貰えるなら
来年も、頑張って生きていたら持って来るからと笑った。

以来、若葉の季節になると
ゆっくりした足取りで
お隣さんがやって来て、
我が家に、白いすずらんのブーケを
届けて下さる。

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