[ペットの思い出]我が家に子犬がやって来た!


色が茶色で、尻尾がくるっと巻いて、あまり大きくない犬がいいな。当時の私の犬への認識はその程度のもので、犬種など全くわからなかった。
子供の頃から犬は大好きで、近所のワンちゃんともよく遊んでいたが、我が家で飼うことはなかった。母から、「動物はいつか死ぬからダメ!」ときつく言われていたからである。
と言って、母とて動物が嫌いなわけではなく、お隣のワンちゃんが家に来た時の為にとおやつがとってあったりした。父も親友の家に行く時は、その家のワンちゃんにわざわざ食べ物を持って行ったりしていた。
生き物だから、いつかは死ぬに決まってるよと心の中で、飼ってもらえない不満をつぶやいてみたりしたが、実際に犬と暮らすようになって初めて、母の言葉に隠されていた深い意味を知るようになる。
ある日、友達に誘われて飼い主さんを募集している動物病院の子犬を見に行った。そこには、私の理想通りの茶色で尻尾がくるりと巻いた小さな三匹の兄弟犬がケージの中で身を寄せ合って眠っていた。覗いている私達に気が付くと三匹とも上になり下になり、ケージに先端まで来て、くるりとした小さな瞳で私達をじっと見つめている。しばらくはそうしているが、何も起こらないとわかるとまた奥の方に戻って三匹重なるように眠りに付いた。私はこの愛くるしい、そして私の理想通りの子犬にすっかり魅せられてしまった。
飼いたい!と思う気持ちと脳裏をよぎる母の言葉に、迷いながらも可愛い姿が忘れられずに毎日子犬を見に行った。行く度に子犬達は無邪気に同じ行動を繰り返した。
動物病院の先生とも飼うことを前提に何度も話をした。犬と言えども私達と何ら変わりない命!そう簡単に決めかねている私に獣医さんは、迷いがあれば飼わない方が良い!と言われた。その迷いを犬は感じ取って精神的に良くないと。
そうこうしながらの7日目、私は決心した。今日行っていなくなっていたらあきらめよう。しかし、もしまだ居たらどんなことをしてもあの小さな命を我が家の一員として守り通そうと。
運命の日とでも言えるあの日、私の命への考えた方が変わったあの日。子犬は三匹ともいつも通りにいた。
子犬は、メスが一匹とオス二匹の兄弟犬で、生後40日程度ということだった。お母さんは5キロ程度の犬だそうだが、離乳期に入った子供の側にはおらず、すでに自宅に帰ったということだった。お母さんが小さいから、子供達もそんなに大きくはならないだろうということだった。何から何まで私の理想通りに子犬がそこにいた。
三匹の中から一匹だけ、引き離すのは可哀想でもあり、出来ることならば三匹とも引き取りたかったが、そうも出来ず心を鬼にして、オスの鼻の短い、どちらかというと他の二匹の後をついてまわっているようなおとなしい性格の子犬に決めた。
今しがたシャンプーしたばかりという、まだ毛が少し湿った感じの手のひらに乗る位小さな子犬を腕に抱いて、家路につく車の中、初めて一人になり、また初めての外の騒音に怖いのか?私の腕と脇の下の間に顔を突っ込んでいる小さな命を抱きしめながら、私の心はやっと念願の子犬を飼うことになった嬉しさよりも、小さな命の一生を託された責任感の重さに気の引き締まる思いの方が大きかった。
そしてこれからこの小さな命との生活が始まる。

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