クロの思い出
私が一番好きなペットは猫だ。
小さな頃から色々な動物を飼っていたが、猫が一番多かった。
中でも、やっぱり思い出が一番深いのは最初に飼った「クロ」だ。
名前の通り真っ黒で綺麗な猫。
彼女は、私が物心つくまえから我が家にいて姉妹のように育った。
ずっと一緒に寝ていたが、私が4歳くらいの時に家出をしてしばらく帰ってこない事があった。
最初のうちは探していたが、そのうち大人たちに「クロは自分の好きな場所に行ったんやで」と宥められてクロの事を忘れるように努力した。
そんなある日、クロが再び私たちの前に現れた。
「クロやっ!!」家の前の広場で遊んでいた私は一緒にいた祖母の腕を引いた。
クロの口元には黒い毛むくじゃらな塊が。
ネズミでも持って帰ってきたのかと思いきや、それは小さな黒猫だった。
何度も往復して、家の中に4匹の子猫を運び込んだクロ。
クロにとって安心して子育てできる場所が我が家だったのだろう。
すっかり大人になったクロ。
兄弟のいない私にとって、自分より小さなクロは同じ子供だと思っていたけど彼女は私よりずっと早く大人になっていた。
それから数年後、彼女は家出をしてしまった。
団地中を捜しまわったけど、今度は二度と戻る事は無かった。
猫は死ぬ時、姿を消すって聞くから、彼女にとってその時がきていたのかもしれないね。
クロ、たくさんの思い出をありがとう。
20年以上経ったけどまだ、私は貴女のように赤ちゃんを連れて実家には帰れていないけど、いつかそんな時がきたら真っ先に報告したいな。
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