お人形が怖い


子供の頃にお祝いで頂いた市松人形があった。

他のいろいろな人形たちと一緒にガラスのケースに入れられて、部屋の隅のタンスの上に長いこと置かれていた。

・・・・でも市松人形って綺麗だけれどなんだか不気味。

あのつるんとした白い頬、どこを見ているか分からない黒目、微かに微笑んだ口元からのぞく小さい歯、おかっぱの黒髪・・・・人形には申し訳ないが、私にとっては小さい頃からあまり気持ちのいい存在ではなかった。

ある時、停電中に弟がふざけて下から懐中電灯で人形の顔を照らした瞬間の恐怖ときたら、今でもフラッシュバックしそうなほどだった。

かと言って捨ててしまったら罰が当たりそうだし祟られそうだと思いつつ、人形供養に出す決心もつかないまま長い間放置していた。

大人になって、あるフリーマーケットにその人形を持って行った。

人形に目を留めた年配のおばさまが話しかけてきた。

「まぁ~、可愛い!」
(可愛いと思う人がいるんだ・・・・と内心びっくり)
その人に気に入られて、めでたく買っていただくことになった。
話を聞くと、日本人形をたくさん集めているらしい。

「この子、名前はなんていうの?」
「え? 名前はありませんが・・・・」
(そもそも名前をつけようという発想すらなかった)
「あら、じゃあ【ナデシコ】ちゃんにしよう。
着物も作ってあげようね。

と、嬉しそうにその人は人形を抱えて帰っていった。

着物も日に焼けて色落ちしてたからねぇ・・・・・
大切にしてくれそうな人の所に引き取られて、双方めでたしめでたしだった。

美し過ぎる人形はどこか怖い。

同じような怖さが西洋のビスクドールにもある。

「人形」と書いて「ひとがた」と読むと思うと、魂が宿っているように思えてしまう。

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